天津大学(Tianjin University)は「天大」と略称され、中国初の近代大学として深い歴史を持っています。1895年10月2日に設立された北洋大学を前身とし、中国の近代高等教育の先駆けとなりました。甲午戦争(日清戦争)の敗戦後、清の光緒帝が「自己向上への道は人材の育成にあり、才能を求める道は学問所の設立にあり」という教育理念のもと、清の盛宣懐を初代監督官として天津市に設立されました。本学校は当初、「北洋大学堂」と命名され、一等学堂(学部)と二等学堂(大学予科)が設けられ、一等学堂には法学、工学、鉱業、機械の4つの学科が置かれました。
1900年に八カ国連合軍が天津市と北京市に侵攻したため、学校は中断を余儀なくされましたが、1903年4月に天津西沽武庫で再開されました。1912年1月、「北洋大学堂」は「北洋大学校」と改名され、1913年には「国立北洋大学」となりました。1928年には大学区制が試行され「国立北洋大学」は「国立北平大学第二工学院」と改名され、1929年には大学組織法に基づき「国立北洋工学院」と再び改名されました。
1937年、「七・七事変」の勃発後、教育部の命令に従い学校は西部へ移転し、同年9月10日に「北平大学」「北平師範大学」「北平研究院」と共同で「国立西安臨時大学」を設立しました。1938年3月、この大学は「国立西北聯合大学」と改名され、同年7月には「国立西北大学」「国立西北工学院」「国立西北師範学院」「国立西北医学院」に再編されました。そのうち、「北洋工学院」は「北平大学工学院」「東北大学工学院」「私立焦作工学院」と合併して、「国立西北工学院」を設立し、校舎は陝西省城固県に置かれました。抗日戦争(日中戦争)の時期には各界の同窓生が「国立北洋工学院」の復活を求め、国民政府行政院は1942年12月に「旧浙江省立英士大学」を国立大学に昇格させ、同校の工学院を独立させて「国立北洋工学院」としました。1944年、李書田氏は西安市で「北洋工学院西京分院」を設立しました。
抗日戦争の勝利後、「国立北洋工学院(泰順)」「北洋工学院西京分院」「西北工学院」および北平部(理学院長の陳藎民氏が「北平臨時大学第五分班」を受け入れ、北洋大学北平部を設立)の四校の教職員と学生が天津市に帰還し、「国立北洋大学」を復活したのち、1946年に「北洋大学」として復名されました。1951年、「北洋大学」は「河北工学院」と合併し、国家により「天津大学」と命名されました。1952年には全国的な大学の調整が始まり、天津大学は十数の学部を他の大学に移管し、多くの新しい大学を設立して中国の高等教育の初期発展を支援しました。1959年、中国共産党中央委員会により国家初の重点大学として指定されました。改革開放後、天津大学は「211工程」、「985工程」の最初の重点建設大学となり、国家の「世界一流大学建設A類大学」に選出されました。
天津大学の発展は、毛沢東氏、周恩来氏、鄧小平氏、江沢民氏、胡錦濤氏、習近平氏など、本学を訪れた中国共産党と国家の主要指導者たちから、常に心のこもった力強い支持を受けてきました。設立以来、本学は「興学強国(訳:教育を振興し、国を強める)」という使命、「実事求是(訳:事実の中に真実を求める)」という校訓、「厳謹治学(訳:謹厳に学問を治める)」という校風、「愛国奉献(訳:国を愛し自らを差し出す)」という伝統、および「矢志創新(訳:イノベーションを志す)」という追求を貫き、国家の経済と社会の発展に卓越した貢献を果たしており、これまでに本学は国家と社会のために30万人以上のハイレベルな人材を育成してきました。
長年にわたる全校の教職員と学生のたゆまぬ努力の結果、天津大学は強力な教員陣、特色ある学科分野、中国トップクラスの教育の質と科学研究レベルを持ち、国際的にも大きな影響力を持つ高水準の研究型大学となりました。
天津大学には衛津路キャンパス、北洋園キャンパス、および濱海工業研究院キャンパスの3つのキャンパスがあります。衛津路キャンパスの総面積は136.2万平方メートル、北洋園キャンパスの総面積は243.6万平方メートル、濱海工業研究院キャンパスの総面積は30.9万平方メートルです。現在、全日制38,484人の学生を擁しており、学部生18,955人、修士課程13,707人、博士(前期)課程5,822人が在籍しています。教職員は4,855人で、そのうち院士が13人、国家「傑出青年科学基金」受賞者が67人、国家「優秀青年科学基金」受賞者が101人、国家「万人計画」リーダーが58人、若手一流人材が44人、教授が1,025人です。
本学は学生の発展を中心に据え、愛国心、世界観、イノベーション精神、実践能力を備え、未来をリードする卓越した人材の育成に努めています。本学は「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」で人材を育成し、「三全育人(訳:全員、全過程、全方位で人材を育成する)」と「五育並舉(訳:知育・食育・体育・徳育・才育のすべての面で全面的に発展させる)」による人材育成の全面的改革を徹底的に推進します。全国新工学建設工作グループのリーダー機関として、新工学の「天津大学行動」を提唱し、全国で初めて新工学建設の「天津大学計画」を発表し、継続的に更新し、「新工学教育国際連盟」と「全国新工学教育イノベーションセンター」の建設を主導しています。2022年国家教育功労賞の特別賞1つ、一等賞3つを受賞し、受賞総数は中国第1位となっています。国家級教育名教師賞受賞者は9人、国家級教育チームは9つ、国家級工学実践教育センターは12カ所、国家級実験教育モデルセンターは7カ所、国家級バーチャルシミュレーション実験教育センターは3カ所、国家級一流学部科目は82科目、国家級バーチャルシミュレーション実験教育一流科目は16科目、国家級バイリンガル教育デモンストレーション科目は6科目、国家級一流学部専攻は54つ、国家「基礎学科優秀学生育成計画2.0基地」は5カ所、国家「強基計画(基礎分野学生募集改革プロジェクト)」専攻は5つ、国家級人材育成イノベーション実験区は10カ所、国家モデル専攻学位大学院生共同育成基地は4カ所です。国家卓越エンジニア学院に認定され、中国第一弾の「未来技術学院」の建設機関、第一陣の国家エネルギー蓄積産学融合イノベーションプラットフォーム、第一陣の国家級イノベーション起業学院、国家博士課程教育総合改革試行高校、第一陣の学位授与自主審査機関、第一陣の工学修士・博士育成改革特別試行大学、第一陣の「国優計画(全国優秀小中学校教員養成計画)」試行高校に選ばれました。これにより、科学研究、産学融合、イノベーション起業の全チェーン人材育成システムが形成されました。エネルギー蓄積技術、新材料、生体医療機器の3つの分野は、緊急に必要とされる高度人材育成のための国家特別プロジェクトとして承認されました。卒業生の65%以上が国家の重点産業地域、業界、および企業地域に就職し、活躍しています。
本学は「強工、厚理、振文、興医、交叉(融合)(訳:工学を強化し、科学を厚くし、文学を活性化し、医学を促進し、統合させる)」という発展理念を堅持しており、工学の明確な優位性、科学と工学の融合、経済、経営、文学、法学、医学、教育、芸術などの多学科の調和した発展という総合的な学科配置を形成しています。現在、74の学部専攻、47の修士号を授与できる一級学科、34の博士号を授与できる一級学科、37のポストドクター科学研究センターがあります。14の学科分野がESI世界ランキングの上位1%に入り、そのうち4つが上位0.1%に、工学分野がESIの上位0.01%に入っています。また、2つの学科が教育部の教育改革「101計画」に選ばれました。
国家戦略、基礎・最先端と新興分野に向けて、13の学科融合プラットフォームを育成・建設し、天津大学学科融合センターを設立して、「天智計画」を積極的に推進しています。本学が主導して育成・設立した「天津化学化工協同イノベーションセンター」は中国第一陣の14の「2011協同イノベーションセンター」の1つとなりました。また、本学は医学と産業の相互融合を継続的に深化させ、13の附属病院および医学センターが設立されています。
本学は科学研究力が強く、「四个面向(訳:4つの槍)」を中心に据え、組織的な科学研究を絶えず強化し、実り多い成果を上げています。国家重大科学技術インフラである大型地震工学シミュレーション研究施設、合成生物学先端科学センター、天津市国家応用数学センター、天津環渤海沿岸地球キーゾーン国家野外科学観測研究ステーションなど、国家級科学研究プラットフォームの建設が承認されました。2016年以来、22項目の国家科学技術賞を受賞し、156項目の国家重点研究開発プロジェクトが承認され、酵母の長い染色体の合成、内燃機関複合サイクルの理論と方法、「海燕」ハイブリッド駆動水中グライダー、水利工学のインテリジェントシミュレーションとインテリジェント建設、ブレイン・コンピューター・インターフェイス・チップなど、多くのハイレベルな成果を生み出しています。また、国家第一陣の中華優秀伝統文化継承基地を建設しました。生物安全戦略研究センターの主導により策定された「科学者の行動規範のための天津バイオセキュリティ・ガイドライン」は、世界保健機関(WHO)により世界生物安全道徳規範に挙げられています。本学には、6つの国家重点実験室、5つの国家技術研究センター、3つの国家国際科学技術協力基地、さらに教育部や天津市の重点実験室など142の省部級重点科学研究プラットフォームがあります。
本学は、国際的に開かれた学校運営を堅持し、あらゆる面で国際交流と協力を深めており、50の国・地域の260の大学、研究機関、企業と協力関係を築いています。ジョージア工科大学と共に「天津大学ジョージア工科深セン学院」を、シンガポール国立大学と共に「天津大学-シンガポール国立大学福州聯合学院」を設立し、海南国際学院の設立を計画しています。また、「中国-ASEAN工学大学連盟」、「中国と中欧諸国科学技術イノベーション大学連盟」、「世界大学生イノベーション・アントレプレナーシップ連盟」を設立しました。「中国-ASEANスマートオーシャン教育センター」や「国際エネルギー協力機構-APEC持続可能なエネルギーセンターなどを設立し、ダブリン大学にマイクロ・ナノ製造センターが共同で設立し、天津市でフランス大使館と共に中仏文化遺産と都市研究センターを共同で設立し、国家一帯一路人文および人材発展研究センターが本学に設立しました。国際産学研用連携会議の天津支部を主催し、地域産業経済の発展を支援しています。国際的な人材育成を強化し、11の専攻が国際的な専攻認証を取得し、710の英語による授業の科目を設置しました。過去5年間、中国政府派遣留学大学院生プロジェクトに792人が採用され、その42.5%がQS世界大学ランキングTOP100の大学に進学しました。学生のグローバルな能力を育成するための努力もなされており、37人の学生が国際連合ジュネーブ事務局や中国・ASEANセンターにインターンシップや研修に派遣されていました。また、「留学IN天津大学」プロジェクトを積極的に推進し、正規留学生の在籍者数は2,000人以上になっています。薬学部は国家第一陣の「大学国際化モデル学院推進計画」に選ばれました。海外ではスロバキア・ブラチスラヴァ孔子学院、オーストラリア・クイーンズランド大学孔子学院が設立され、スロバキア・ブラチスラヴァ孔子学院は世界でも「先進的な孔子学院」として認められています。
(データは2024年3月現在のものです)